【おすすめソーシャルレンディング】東欧金融事業者支援ファンドをレビュー【クラウドクレジット】
ソーシャルレンディング事業を展開するクラウドクレジットについて、同社の看板商品でもある、「東欧金融事業者支援ファンド」は買いなのでしょうか?
過去の償還実績を分析し、買うべきか否かを解説します。
注) 以下は私の個人的な意見・分析を含みますので、実際の利回りを保証するものではありません。最終的な投資判断はご自身で行っていただきますようお願い致します。
ソーシャルレンディングとは
ソーシャルレンディングとは、クラウドファンディングの一種です。
個人投資家から少額の投資を集めて、それを主に中小零細企業へ融資し、利息を得ることで収益を得る、という金融商品です。
ミドルリスクミドルリターンの名の通り、元本保証はないものの、年利回り3~10%程度での運用が可能です。
株やFXよりもリスクは低く、個人向け社債などよりもリターンが大きいイメージです。
東欧金融事業者支援ファンド
概要
クラウドクレジットが販売するソーシャルレンディング商品の一つです。
同社が2016年より販売している主力商品の一つで、エストニア共和国・キプロス共和国・ラトビア共和国・ジョージアなどの東欧諸国の小規模金融事業者へ融資するファンドです。
クラウドクレジット:https://crowdcredit.jp
これまでに、200本以上が販売されているが、貸し倒れは一切無ありません。(為替差損による元本割れは有り)
償還遅延は1度だけ1ヶ月の遅延があったが、最終的には遅延分の金利も含めて償還されています。
種類
以下の5つの種類が有ります。(2019年8月時点)
常時発売しているわけではなく、その時々で募集しているものは変わります。
略称 | 発売数 | 通貨 | 利回り目安 | 最新募集 | 償還実績 |
JPY | 6号 | 円建て | 7.8% | 2019年8月 | 無し |
JPY | 120号 | 為替ヘッジ有り | 7.7% | 2019年7月 | 有り |
EUR | 100号 | ユーロ建て | 8.8% | 2019年8月 | 有り |
GEL | 7号 | ジョージアラリ建て | 9.9% | 2018年9月 | 有り |
MEN | 7号 | メキシコペソ建て | 10.5% | 2019年5月 | 無し |
円建てと為替ヘッジは、大きな違いはないと理解してよいでしょう。
あえて違う点を挙げるとすれば、貸付先の返済が遅れ、運用期間が延びてしまった際などに、為替ヘッジの場合はコストがかさむ可能性が高いです。
これらは、利回りは外貨建てに比べて低くなりますが、為替変動による影響をミニマイズできる商品です。
円以外の外貨建てでは、利息利益の他に、為替変動による利益・損失が発生します。大きな損失になる可能性も有りますが、円安方向に為替が動けば、大きな利益となります。
円建てよりもハイリスク・ハイリターンの商品と言えるでしょう。
過去の償還実績
過去の償還実績は、クラウドクレジットの公式サイトで公開されています。
運用実績:https://crowdcredit.jp/operation/index/6
2019年8月時点の実績を大まかにまとめると、以下の通り。
円建ては安定した利回り、外貨建ては噴けば大きいものの、元本割れのリスクもある状態です。
最大実現利回り | 最小実現利回り | 償還数 | 元本割れ | 予定利回り以下 | |
為替ヘッジ有り | 10.0% | 4.5% | 56 | 0 | 22 |
ユーロ建て | 43.1% | -4.4% | 58 | 10 | 20 |
ジョージアラリ建て | NA | -9.6% | 3 | 3 | 0 |
なお、運用実績はレポートの形で掲載されており、一覧になっておらず見づらかった為、表にまとめてみました。
まずは「為替ヘッジ有」です。
安定して予定利回り程度を確保している事が分かります。
予定利回りを下回るとしても、大幅に下回る事は無く、0.数%程度の下振れです。
つづいて、「ユーロ建て」です。
2016年末頃から2018年頭頃までは、予定利回りを大幅に上回る事が多かったようですが、その後、為替が円高に振れた関係で予想利回りを下回る結果が続き、元本割れも何度も発生しています。
最後に「ジョージアラリ建て」です。
3回の償還実績が有りますが、いずれも為替差損にて元本割れとなっています。
運用時期で比較
外貨建ての場合は、運用結果が為替に大いに左右されますので、運用時期で並べてみました。
当然では有りますが、円高に振れた際に運用を開始したファンドで、円安に振れたタイミングで償還した物に関しては、高い利回りが出ています。
一方で、2017年後半に運用開始した物は、その後の円高で散々な結果となりました。
ジョージアラリ建ても元本割れですが、時期が悪かっただけで、ジョーシアラリ自体が悪いわけでは無いと思います。
ユーロ円相場 (2019年8月時点)
少し脱線して、ユーロ円の為替相場についても言及します。
足元では円高が進行しており、この流れは少なくともBrexitの決着(10月頃の見込みですが、まだまだ続くかもしれません。。)までは続くかと思います。
為替チャートの月足は以下の通りで、足元で、過去10年の安値で引いたサポートラインにタッチしている状態です。ここを下抜けするのか、反発するのかは見極める必要が有ると思います。
なお、20年スパンで見た下値サポートラインは、まだまだ下ですので、さらに円高が進行する可能性は有ります。
よって、個人的には足元でユーロ建てファンドに投資するのはリスクが大きいと考えています。
運用日数で比較
東欧金融事業者支援ファンドの話に戻りましょう。
運用日数別で比べると、意外な事にユーロ建てでは短期(6-7ヶ月)の運用の方が運用結果が上振れしています。ただし、ちょうど運用期間が、為替相場の変動にはまった結果かとは思います。
為替ヘッジ有では、当然ですが運用日数(=投資資金拘束日数)が長い方が利回りは良い結果ですが、そこまで大きな違いは出ておらず、どちらかというと、運用開始時点の資金需要マーケット次第であると思われます。
予定利回りで比較
予定利回り別に並べると、当初の予定利回りが高い方が上振れする確率も高いという結果になりました。
こちらも、予定利回りによる物では無いと思われます。
当初の予定利回りが大きい
⇒ 当時の資金需要が豊富
⇒ 当時の欧州の景気が良い
⇒ その後、短期でユーロ高円安に振れる
となっている可能性が高いためです。
当初の予定利回りが低い場合は、欧州の景気減退で円高が進行しやすく、元本割れなどの運用失敗も発生しやすい環境となります。
メキシコペソ建ては?
2019年8月時点でメキシコペソ建ての償還実績は有りませんが、投資先としてはどうなか考えてみたいと思います。
まず、メキシコペソについて、特徴は以下の通り。
・メキシコペソは高金利通貨で、金利は8.25%
・ 金利は高いが、格付けは高金利通貨の中では最高水準であり比較的低リスク
・ 過去4年ほど下落トレンドであったが、アメリカの利上げが終了し新興国通貨に資金が流れた関係で、2019年から上昇傾向となっている
・メキシコペソは、アメリカとの貿易政策の進捗によって大きく上下する
・ 2019年6月アメリカとの貿易交渉に決裂し、ペソは大きく下落
上記の通り、足元では下落していますが、逆に言うと長期的にメキシコペソ投資をするのであれば、割安な今が買い時とも考えられます。
ただし、ソーシャルレンディングは、半年から長くても2年程度と、そこまで長期とも言えない為、一過性の為替変動により損を発生させる可能性も有りますので注意が必要です。
FXと違い、利確・損切タイミングを選べないというのも、外貨建てソーシャルレンディングの弱点一つでしょうか。
いま投資すべき商品は?
上記を踏まえた個人的な足元の意見として、「東欧金融事業者支援ファンド」への投資方針は以下の通りです。
「円建て」:買うならこれ。目安は予定利回り6-7%以上
「ユーロ建て」:Brexitの結果が出るまでは買い控える。
「ジョージアラリ建て」:ユーロ同様、買い控える。
「メキシコペソ建て」:募集が少ない為、次回発売時に為替チャートを見て都度検討
以上、「東欧金融事業者支援ファンド」のレビューでした。
私は、8月度にて円建てに、25万円分投資しました。