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ジパングコイン(ZPG)を徹底レビュー、金ETFの代わりになるのか?

2022/05/16
 
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東京出身、東京都文京区在住のアラサーサラリーマンです。 共働きで、子育て・仕事と頑張っています。 自分用のメモもかねて、日々の生活で調べた事、学んだ事、経験したことを記事にして紹介します。

話題のジパングコイン(Zipangcoin/ZPG)について調べましたのでレビューします。
投資用なら金ETFで良いのでは?と思いますが、流動性が高く将来的に買い物などで気軽に使えるようになれば、インフレ対策としては結構良い選択肢になるのではないかと思います。
スプレッドがとても広い事(2022/2/17時点で約1.2%≒ドル建てGOLD換算で21ドル!)も大きな問題です、正直このままでは使い物になりませんので、改善を期待します。

ジパングコインとは?

  • ジパングコイン : Zipangcoin /ティッカーコード:ZPG
  • 三井物産デジタルコモディティーズが発行しデジタルアセットマーケッツが販売する暗号資産
  • 国内初の金(ゴールド)価格に概ね連動することを目指す
  • 1ZPG=金1グラム相当
  • 発行上限は390 億円に相当する数量(初年度 20 億円、3 年後 120 億円目標、将来的に増量の可能性有)
  • 発行額と同額の金を三井物産がロンドン市場から調達し紐付けする
  • ZPGトークンは三井住友銀行が時価で銀行保証
  • ブロックチェーンはプライベート型
  • 取引所アクセスリンク : https://markets.digiasset.co.jp/login/login

その他メモ

  • 三井物産や銀行を巻き込んでいるなど、裏付けとなるバックが大きい事で注目されている印象だが、金価格との連動の仕組みは不明点が多い?
  • 将来的にはデジタルアセットマーケッツ以外の暗号資産交換業者での取扱いも計画
  • 小口決済も今後検討
  • ホワイトペーパーはこちら
  • ビットコインのように休日含め24時間取引できるのか不明

発行スケジュール

デジタルアセットマーケッツのプレスリリースの通り

  • 口座開設申込: 2022 年 2 月 8 日(火)10 時から
  • 取引開始  : 2022 年 2 月 17 日(木)10 時から
  • 発行状況は2022/3/31以降に更新される模様

発行スキーム

  1. 三井物産がロンドン市場で金現物を調達
  2. 三井物産デジタルコモディティーズが金現物を担保にジパングコインを発行
  3. 暗号資産交換業者デジタルアセットマーケッツが個人向けに販売
    将来的には他の暗号資産交換業者での取扱いを計画

それぞれの登場人物は誰なんだ?という事で各社概要です。

三井物産デジタルコモディティーズ株式会社
所在地:  〒100-0004 東京都千代田区大手町一丁目2番1号
代表者:  代表取締役社長 加藤 次男
設立 :  2021年4月
事業内容: 暗号資産の発行/売買、貴金属地金等の売買/リース
出資 :  三井物産株式会社100%

ジパングコインのためだけに造られた三井物産の子会社のようですね。
代表の加藤 次男さんは2016年11月に三井物産のコーポレートディベロップメント本部の部長、2021年4月に、理事・本部長補佐となられているようです。過去には米Mitsui Bussan Commodities(USA) Inc. CEO、英Mitsui Bussan Commodities Ltd. COOを務めていたようです。物産のコモディティ畑の方という事かと。

株式会社デジタルアセットマーケッツ
所在地:  〒102-0082 東京都千代田区一番町18番地川喜多メモリアルビル8階
代表者:  西本一也
設立 :  2018年8月
事業内容: 暗号資産交換業(暗号資産交換業者登録 関東財務局長 第00024号)
出資:   株式会社インタートレード、三井物産株式会社、光証券株式会社、アストマックス株式会社、日産証券株式会社、株式会社WOW WORLD、株式会社ジャパンインベストメントアドバイザー、株式会社セブン銀行、東京短資株式会社、キーウェアソリューションズ株式会社、他

こちらも、ジパングコインの為に2018年から準備をして来た会社のようです。
社長の西本一也さんは、出資者でもある株式会社インタートレード(取引システム提供事業)の社長ですね。
セブン銀行が出資しているので、コンビニで使えるようになると便利かもと思いました。
決算公示を公開していますので覗いてみると、売り上げはまだ立っておらず、システム開発に資金を投入している感じのようです。

価格はどのように決まるのか?

金(ゴールド)価格に概ね連動させ、穏やかな価格変動を目指すという事ですが、価格はどのように決まるのか?
公式の回答は以下の通り、

肝心の、価格が金に連動する根拠が一切かかれてません・・・。
発行者が調整するのであれば、どんな仕組みで、どの程度の頻度で行われるのかが明記されないと怖すぎるんですがね。

とりあえず、初日にどんな価格で始まるのかが注目ですが、当初はとんでもないスプレッドで始まるのではないかなと。逆に、リアルタイムに金価格に連動する仕組みが無さそうなので、草コインにありがちな値動きとして、初回販売開始直後に投機的な動きで暴騰・暴落するかもしれませんね。この辺は誰にもわかりません。

一方で、発行上限は390 億円に相当する数量(初年度 20 億円、3 年後 120 億円目標、将来的に増量の可能性有)となっていて、ホワイトペーパーには以下の記載も有りました。

この「その都度、本トークンの追加発行を行います」が、リアルタイムに行われるのかどうかが不明です。
もし、個人の相対取引で、買い注文が売り注文を超過した瞬間に、取引所が瞬時に介入して超過分の買い注文に対してトークンの追加発行が行われるのであれば、上限390億円までは値動きは限定的になるのかもしれません。

なお、発行者(三井物産デジタルコモディティーズ)が破綻した場合には、発行者がジパングコインを金現物の市場価格と近似した価格で買い取る義務が生じます。
この時は、現物の金が返済原資となるはずで、三井住友銀行が時価で銀行保証をしているという事ですので、破綻・清算のタイミングでは金マーケット価格と連動する事になりますね。

プライベート型ブロックチェーンとは?

以下引用の通り、プライベート型ブロックチェーンは、パブリック型に比べると信用度が下がりそうです。
仮想通貨の基本思想は、国や一部の支配層の権力が及ばない自由な通貨を作ろうという物だからです。

また、日系企業のプライベート型ということで、特に外国人投資家には見向きもされないでしょうね。少なくとも現物交換、支払い決済ができない現状のままでは。
ただし、日本では名の通ったビックネームである三井物産、セブン銀行、三井住友銀行などの名前がそろってますので、日本人には受け入れやすく、上手くやれば信用も勝ち取れるのではないかと思います。
日本では金融庁がガチガチなので、プライベート型だからといって三井物産が過度に手数料上げ始めたりしたら、すぐに行政指導が入ることになると思いますしね。

プライベート型ブロックチェーン
プライベート型ブロックチェーンは、特定の管理者(運営者)が存在する、限定されたユーザのみが利用できるブロックチェーンです。

プライベート型は中央集権型のネットワークです。透明性はないものの、外部に公開されないためプライバシーが確保され、閉じたシステム内でブロックチェーンにデータを格納できます。

何より不特定多数のノード間で合意形成を行う必要がなくマイニングも行わないため、大量の処理が必要な場合でも迅速に対応できます。一方、管理者が独断的にルールを変更することが可能で、また管理者に何らかの問題や障害が生じたときにはシステムが成り立たなくなるおそれがあります。

こうした特徴からプライベート型は単体の企業や組織内での用途に向いているとされ、とくに金融機関が活用を推進しています。

https://mvno.freebit.com/column/iot-m2m/blockchain-type.html

また、プライベート型では合意形成の参加者が限定されているため、「51%攻撃」が起こらない事がメリットともされているようです。
というか、それってただの一企業が管理するデータベースな気がするのですが、違うんですかね?

なお、ホワイトペーパーに以下のリスクの記載が有ります。
プライベート型だとノード数が少ない?のかなと想像すると、攻撃を受けた際にデータ改ざんされてしまうんでしょうか。。ブロックチェーンのテクニカルな知識が無いので、結局良く分からずです。

投資としての魅力は?

個人的には、正直ゴールドに投資したいのであれば、金ETFで十分かと感じました。

手数料:
ZPGは無料との事、金ETFも無料のもの有りますしね。

スプレッド:
リリース前の情報では、上記の通りMin 0.1%との事でしたが、販売開始初日のスプレッドは82円程度。
ZPGは1gの金を日本円で買い付けるのと同じような価格設定ですので、1ZPG=7000円程度(2022/2/17時点)となり、82円のスプレッドは1.2%に相当します。
これは、ドル建てGOLD換算で21ドル程度に相当します!有り得ないですね。。
正直やってられないぐらい大きなスプレッド設定で、せっかく口座開設して待っていましたが、全く買う気が失せました。

ボラティリティ:
販売開始日2022/2/17の値動きは以下の通り。
この日、ウクライナ懸念でドル建てゴールドは大きく動き、1969ドルから1900ドルまで30ドルの高騰、さらに円建てではg当たり7,029円と、2020年8月以来の史上最高値を付けた大相場となりました。
しかし、ジパングコインではスプレッドを消化するのがやっとの、85円程度の値動きという状況。

出来高:
販売開始日初日2022/2/17の出来高は1,100 ZPG=800万円弱程度と大したことなく、しかもこのうち1,000ZPG程度が10:00販売開始後30分間で取引された、ご祝儀・お試し取引です。
スプレッドが大きすぎて、参加者の失望が表れているのかなと思います。

税率:
ZPGは不利です。暗号資産なので、雑所得扱いとなり、その他所得と合算の総合課税になり税率が上がってしまうためです。
ETFなら分離課税なので、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)で済みますからね。

金現物との交換はできる?

現時点では交換できません。

という事で、償還戦略は無く売りっぱなしの金価格連動目標の金融商品(手数料なし)的なイメージでしょうか。

将来的には交換できるようにするという事ですが、結構ハードルは高いのではないかと思います。実際にできるようになったら面白いですけどね。

完全な妄想ですが、ジパングコインを買ってから金に交換したら、消費税かからないんでしょうか?
手数料は取られるはずなので、ZPG価格(金マーケット価格連動目標)+ZPG換金手数料 vs 市中地金価格+消費税10% を気にするようになるのかな?等と想像しています。

買い物はできる?

現時点では出来ません。

支払い決済に使えたら、金本位制への回帰という事で面白い流れになりそうですよね。
ホワイトペーパーには、Phase 2として「送金手段又は決済手段として利用できるサービスを提供します」の記載が有り、将来的にそれを目指してはいるようです。
セブン銀行が出資している事から、セブンイレブンでの決済を視野に入れているかもしれません。

ただし、現行の税制のままだと難しいのかなという気もします。
仮想通貨の含み益は利益確定したタイミングで課税されるので、ZPGで買い物をして決済した時に含み益が有った場合は、そこで課税される事になります。確定申告がかなり面倒そうですよね。。

雑感

投資用としては微妙と思いましたが、様々なハードルはある物の、現物との交換やジパングコインで直接買い物が出来るようになったりすると、インフレヘッジとしては有用な金融商品になるのではないかと思いました。
一方で、スプレッドが広すぎて、イコール手数料が高いのと同義ですので、現状のままでは投資用にも決済手段としても全く魅力が有りませんので、将来の改善に期待します。

私は趣味で金ETFでレバレッジ掛けたデイトレードをしてますので、試しに少額だけジパングコインも買ってみようかと思います。

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東京出身、東京都文京区在住のアラサーサラリーマンです。 共働きで、子育て・仕事と頑張っています。 自分用のメモもかねて、日々の生活で調べた事、学んだ事、経験したことを記事にして紹介します。

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